新・純邦楽ユニット WASABIより富山公演に向けてメッセージ

インタビュー

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オーバード・ホール劇場情報誌「MiteMite」Vol.83に寄せていただいたWASABIの皆さんからのメッセージを全文公開します!MiteMite本誌では公演の内容やプログラムの特色にフィーチャーしましたが、ここでは結成15周年を迎えての想いや、富山公演で楽しみにしていることなど、たっぷりとお話しいただいています。撮りおろし写真とあわせて、ぜひお読みください!

WASABI結成15周年を迎えて

吉田 私は吉田兄弟として活動を始めて10年を迎えた頃に、改めて学校公演を通じて子どもたちに和楽器の演奏を届けたいと思うようになりました。その際、津軽三味線だけでなく、すべての和楽器を揃えた公演をしたいと考えたんです。まず、同じく民謡の世界で活動している美鵬さんに「一緒に学校公演を回らない?」と声をかけました。彼はすぐに「いいよ!」と快諾してくれました。次に、「やっぱり尺八も欲しいな」と思い、元永さんに声をかけました。こうして3人でグループを組み、活動をスタートさせました。最初の1〜2年はこの3人で学校公演を行っていましたが、公演を重ねるうちに「箏も必要だな」と感じるようになったんです。当時は津軽三味線と箏が一緒に演奏することはほとんどなかったのですが、尺八の元永さんが古典つながりで市川さんを紹介してくれました。それから、4人での活動が始まりました。これが「WASABI」結成のきっかけです。

吉田良一郎/津軽三味線

美鵬 その後、学校公演だけでなく、国内各地のコンサートホールや海外公演、さらにはライブハウスでの演奏など、活動の幅を広げながら続けてきました。市川さんが加わったのが2010年なので、今年2025年でちょうど15年。つまり、「WASABI」は結成15周年を迎えることになります。この15年間で、私たちは4枚のアルバムをリリースしました。

吉田 WASABIのコンサートでは、基本的にオリジナル曲をメインに演奏しています。これは学校公演でも一般公演でも変わりません。私たちの音楽は、古典のフレーズを活かしながらオリジナル曲を生み出す、というコンセプトのもとに作られています。また、公演を行う地域に伝わる民謡もプログラムに取り入れ、その土地ならではの音楽を届けることを大切にしています。なかでも、これまで最も多く演奏してきたのが富山県の「こきりこ節」です。結成当初から、学校公演でも一般公演でも、ほぼすべての公演で演奏してきました。

美鵬直三朗/太鼓・鳴り物

元永 WASABIは学校公演からスタートしたこともあり、プログラムに唱歌を取り入れているのも特徴のひとつです。「ふるさと」などを和楽器だけで演奏することで、独特の良さが生まれると感じています。また、コンサート全体を楽しんでいただけるよう、曲ごとに緩急をつけてプログラムを構成しています。楽曲はメンバー4人それぞれが作曲しており、その個性も感じ取っていただけるのではないかと思います。ソロのメロディーでは各楽器ならではの音色が際立ち、また、さまざまな組み合わせによるハーモニーも楽しめます。さらに、箏には十七絃や二十絃など種類があり、和楽器ならではの幅広い表現も堪能していただけるはずです。

元永拓/尺八

市川 和楽器と聞くと、少し堅苦しいイメージがあるかもしれませんが、WASABIはまったく違います。お客様と一緒に楽しむライブのような雰囲気が特徴です。そのため、公演ではお客様に参加していただくコーナーも設けています。手拍子や歌、たとえば「漁師唄」を一緒に歌っていただくなど、会場全体で盛り上がる工夫をしています。

吉田 こうした試みは、15年前の和楽器のコンサートではほとんど見られなかったのではないでしょうか。私たちは、会場の皆さんと同じ時間を共有することで、コンサートを存分に楽しんでいただきたいと考えています。そして何より、WASABIならではのカッコいい和楽器の音色をぜひ堪能していただきたいです。

市川 和楽器の楽しさやカッコよさ、「和楽器でこんなことができるんだ!」という可能性を伝えたいと思っています。伝統的な和楽器の良さを活かしながら、私たちのオリジナル曲を聴いていただくことで、「カッコいい」「聴きやすい」「わかりやすい」と感じてもらえるはずです。ぜひ、そんなWASABIの音楽を体感しに来てほしいですね。

美鵬 クラシックのような雰囲気の曲もありますが、楽しみ方はとてもカジュアルです。肩肘張らずに気軽に楽しんでいただけます。WASABIという名前の通り、「和のサビ」を聴かせるグループですので、ぜひ日本の音楽を存分に味わっていただければと思います。

元永 音楽だけでなく、曲間のトークも楽しんでいただけると思います。そうしたやり取りを通じて、ステージと会場が一体となって盛り上がるコンサートになれば嬉しいです。

市川慎/箏・十七絃

富山でコンサートに出演するにあたって

吉田 富山には学校公演で訪れたことはありますが、コンサートとしては初めてです。やはり北陸と言えば、食事が美味しいというイメージがあります。ますずしは本当に忘れられない味で、毎回お土産として買って帰ります。

市川 素敵な場所で、お酒も美味しいですね。

美鵬 北陸は和菓子も有名で、葛切りなどもとても美味しいです。お鮨も最高ですね。

元永 今回はこの機会に、富山の美味しいものをいただいて帰りたいと思っています。

吉田 さて、今回はWASABIが結成以来ずっと演奏している「こきりこ節」をプログラムに入れています。ご当地で皆さまに披露できることを、嬉しく思い、また楽しみにしています。これまで日本国内だけでなく、海外でも演奏してきました。

全員 WASABIのコンサートを通じて、和楽器のカッコよさや、古典のフレーズを活かしながらも非常に聴きやすいオリジナル曲をお届けします。心を込めて一生懸命演奏しますので、ぜひお楽しみください!皆さまにお会いできることを楽しみにしています。どうぞよろしくお願いいたします。

新・純邦楽ユニットWASABI

津軽三味線の吉田良一郎の呼びかけにより、尺八の元永 拓、太鼓・鳴り物の美鵬 直三朗と2008年に始めた新・純邦楽ユニット。2010年に箏・十七絃の市川 慎を迎え 本格的に活動を開始。主体だった学校公演に加え、一般公演、舞台音楽制作など、さまざまなステージを展開してきた。邦楽と呼ばれる和楽器を使った音楽にもさまざまな ジャンルがあるが、実はそれぞれの奏者の交流はあまりない。WASABIのメンバーで 例えるなら、津軽三味線の吉田と太鼓・鳴り物の美鵬が土台としている民謡と、尺八の 元永と箏の市川が長らく親しんできた古典では、活動の場が違う。津軽三味線、尺八、箏・十七絃、太鼓・鳴り物、この4種の奏者のユニットは前代未聞といわれる由縁だ。だから演奏活動を行うにはオリジナル曲が欠かせないと、「新しい邦楽の世界」「世界中どこへいっても通じる音楽」「伝統を受け継ぎ、 歴史を作る」をテーマに、高い演奏技術と和楽器の響きを活かしたキャッチーなメロディに雅で抒情的かつ 迫力のある「和バンド」のグルーヴで、WASABIがめざす音楽 「聞き手に楽しんで もらうこと!」が感じられるオリジナル楽曲を生み出し2012年 1st Album「WASABI」、2014年 2nd Album「WASABI II」、2019年3rd Album「WASABI III」そして4枚目の今作「BEAMING」を発表。邦楽だけでなく、プログレッシブ・ロックやクラシックといった、さまざまな音楽ファンに聞いてもらいたい。

http://www.japan-wasabi.jp/

関連公演

主催公演 中ホール

日時 2025年6月14日(土)
15:00開演(14:30開場)

新・純邦楽ユニットWASABI

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