タニノクロウ × オール富山
2018年1月、富山オーバード・ホール舞台上特設シアターで国内最終公演を終えた岸田國士戯曲賞受賞作「地獄谷温泉 無明ノ宿」に続き、オーバード・ホールが再びタニノクロウを迎え、新たな舞台を創る。作品は庭劇団ペニノの代表作として、2003年の初演から再演を重ねて根強い人気を誇る「ダークマスター」。原作は1995年に狩撫麻礼(かりぶ・まれい)が発表した短編漫画で、タニノは物語の舞台を富山に移し、新たに脚本を書き下ろす。富山でのキャストオーディション、美術スタッフの公募を行い構成する《オール富山》の座組みで、これまでにない試みに挑戦する。
作り込まれた緻密な舞台美術
タニノ率いる庭劇団ペニノは、圧倒的に作り込まれた舞台美術でも高い評価を得ている。「地獄谷温泉 無明ノ宿」では巨大な二階建ての温泉宿を丸ごと回転舞台の上に建て込み、鮮やかな舞台転換を実現した。その美術を手掛けたのが、稲田美智子。今回の「ダークマスター」では稲田の指導のもと、舞台美術を製作するスタッフを募集する。経歴は不問。2019年3月の本公演に向けて、共に挑戦してくれる方を求む。

全てを富山で創る
物語の舞台となるのは、富山のどこの街角にでもありそうな食事処。入口のドア、カウンター席から厨房、階段まで全てを美術セットとして作り、オーバード・ホールの舞台上に架空の店舗を出現させる。またリアリティのある空間を再現するため、壁や天井、小道具に至るまで、全てに長年使い込まれたようなディティールを施していく。この公演のためだけの舞台美術が生まれていく。