タニノクロウ × オール富山
2018年1月、富山オーバード・ホール舞台上特設シアターで国内最終公演を終えた岸田國士戯曲賞受賞作「地獄谷温泉 無明ノ宿」に続き、オーバード・ホールが再びタニノクロウを迎え、新たな舞台を創る。作品は庭劇団ペニノの代表作として、2003年の初演から再演を重ねて根強い人気を誇る「ダークマスター」。原作は1995年に狩撫麻礼(かりぶ・まれい)が発表した短編漫画で、タニノは物語の舞台を富山に移し、新たに脚本を書き下ろす。富山でのキャストオーディション、美術スタッフの公募を行い構成する《オール富山》の座組みで、これまでにない試みに挑戦する。
タニノが描く、もうひとつのTOYAMA
「ダークマスター」は、その土地にどっぷりと浸かり、創り上げることをひとつのテーマとしている。富山の定食屋が舞台となり、劇中の会話も方言が中心となる。自身が少年時代に生活した街は、時代の流れを経て、どう描かれるのか。物語の全貌はまだ誰にも分からない。

あらすじ
富山にある、とある食事処。超一流の腕を持つマスターが一人でやっているが、偏屈な人間性と極度のアルコール中毒のため全く客がこない。ある日、ひとりの若者が東京から客としてやってくる。自分探しをしている無職の男だった。マスターは自分の代わりにここの料理人になれと提案し、料理経験のない若者にイヤホン型の小型無線機を渡す。自分は二階に隠れ、無線を使って若者に料理の手順を伝えるというのだ。行く当てもない若者はそれを引き受け、やがて有名な行列店になる。しかし、あの日以来マスターの声は聞こえるが姿を見かけない…。