コラム
今回のブログ担当ふっきーです。
私は、これまで多くのアーティストと関わってきました。
そのたびに、自分の知らなかった世界に触れ、自分ひとりでは辿りつけなかった視点や価値観に出会ってきました。
日常の風景が少し違って見えたり、新たな問いが生まれることもあり、アーティストとは「世界の窓」のような存在だと思っています。
そんな出会いの価値をもっと多くの方と共有したい、という思いから、今年度より「アーティスト・セッションTOYAMA」という新しい企画をスタートしました。
この企画は、国内外で活躍するアーティストを招き、作品を鑑賞するだけでなく、ワークショップや対話を通して、その思考や創作のプロセスに触れていただくというものです。
その第1回目のゲストとしてお迎えするのが、振付家・下島礼紗さんです。

下島さんが率いるダンスカンパニー「ケダゴロ」の存在を初めて知ったとき、率直に驚きました。というのも、「ケダゴロ」は、実際に起きた事件や犯罪を題材に作品をつくっているからです。
一見すると、とても重く、難しいテーマに感じられるかもしれません。
けれど、作品が描き出すのは事件の再現ではありません。
その背景にある人間の感情や、社会構造、言葉にならない違和感が浮かび上がってくるようです。
「なぜ、こんなことが起きたのだろう」
「自分はその場にいたらどう感じるだろう」
「知らず知らずのうちに、私自身も何かに従っているのではないか」
そんな問いが次々と浮かんできます。
今回、富山で上映する2本は、ケダゴロの代表作です。
1982年、愛媛県松山市で元同僚ホステスを殺害した福田和子の事件を題材としています。犯行後、5459日間に及ぶ整形逃亡劇を繰り広げ1997年、公訴時効成立21日前逮捕されたフクダカズコ…。
ただし、この作品は事件の再現をしているわけではありません。ひとりの女の内面にある孤独、欲望、逃亡への衝動。重力の中を彷徨い、抗い、逃れようとする身体は、観る者に強い印象を残します。
(上映時間:約75分)
連合赤軍事件やオウム真理教事件を取材して、集団の中で生まれる「狂気」の構造を描いた代表作です。
この作品では、極限状態のなかで人がどのように変化していくのか、そして個人が集団の空気にのみ込まれていく怖さが、身体表現を通して描かれます。
ダンサーたちは巨大な氷の塊を素肌で抱えたり、平手打ちによって身体を赤く腫らしたりしながら、言葉では表現しきれない痛みや緊張感を体現します。その強烈な舞台は、国内外のフェスティバルで大きな反響を呼びました。
テーマの重さだけでなく、「ここまで身体で表現するのか」と圧倒される作品です。
最近、「富山は同調圧力が強い」といった記事を目にしました。
その真偽はともかく、「周囲に合わせる」「空気を読む」という感覚は、私にとっても思い当たることがあり、また多くの人にとって身近なものではないでしょうか。
そう考えると、「Sky」は決して遠い世界の話ではなく、私たちの日常とも深くつながっている作品ではないかと感じさせられます。
(上映時間35分)
今回は、作品上映に加え、下島さんご本人によるワークショップも開催します。
とはいっても、ダンス経験は全く必要ありません。
「事件をダンスで表現するってどういうこと?」
「アーティストは何を考えて作品をつくっているの?」など…
素朴な疑問や好奇心のある方、面白そう!と思ってくださった方、どなたでも大歓迎です!
ワークショップ終了後には、下島さんとの対話の時間も設けています。
実際に起きた事件を扱うことで批判を受けたり論争になることもあるそうです。
なぜ下島さんは、これほど過酷な題材を選び続けるのでしょう。
その創作の背景にある思いを、ぜひ直接聞いてみたいと思っています。
アーティストと出会い、その視点に触れ、自分の中に新しい何かが生まれる。
それこそが、この「アーティスト・セッション TOYAMA」で共有したい体験です。
下島さんは、とても気さくな方です。怖くないですよ(笑)。富山で多くの方と出会うことを楽しみにしてくださっています。
どうぞ、構えずに気軽にご参加ください。お待ちしてまーす!
富山県のみなさま、はじめまして。下島礼紗です。
ついにケダゴロの作品をこの土地で紹介できることになりました。
わたし的には富山といえば「富山ブラック」「立山連峰」。
それではここでクエスチョンです(ミステリーハンター風に)。
私の故郷名物「まくらじさ」とは、なんでしょう?
答えを伝えに来てくださった方にはプレゼントをさしあげます(ささやかな)。
こちらの募集情報に心の奥底がザワザワ疼く方々…その違和感を引っ提げたままお越し願います。
ダンス経験のない方も大歓迎。
富山のふしぎ、発見しに行きます。
もっと下島さんのことを知りたくなった方は、こちらもどうぞ。
下島さんインタビュー記事
ケダゴロ・ダンスで実際の事件に対峙する 下島礼紗のパッション