オーバード・ホール開館20周年記念事業 小林研一郎指揮 ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団 ピアノ仲道郁代 2016 10/29[土]

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  • 曲目・解説
  • 公演概要
  • デビュー30周年記念 仲道郁代インタビュー

指揮・ピアノ・管弦楽

小林 研一郎 Ken-ichiro Kobayashi 指揮

東京芸術大学作曲科および指揮科卒業。1974年、第1回ブダペスト国際指揮者コンクール第1位、特別賞受賞。ハンガリー国立交響楽団音楽総監督(現ハンガリー国立フィル)、日本フィル音楽監督、アーネム・フィル常任指揮者をはじめ、国内外で数々のオーケストラのポジションなどを歴任。ハンガリー政府よりリスト記念勲章、ハンガリー文化勲章、星付中十字勲章、2010年にはハンガリー文化大使の称号が授与されている。現在、ハンガリー国立フィル、日本フィルおよび名古屋フィルの桂冠指揮者、読響の特別客演指揮者、九州交響楽団の首席客演指揮者、東京芸術大学、東京音楽大学およびリスト音楽院名誉教授などを務める。2012年、東京文化会館音楽監督に就任。2013年、旭日中綬章受賞。2014年3月ハンガリーデビュー40周年を記念してブダペストにて40周年記念コンサート・シリーズが行われ、ハンガリー国立フィルとマーラー:「復活」を演奏。

仲道 郁代 Ikuyo Nakamichi ピアノ <デビュー30周年>

4歳からピアノを始める。国内外での受賞を経て、1987年ヨーロッパと日本で本格的にデビュー。 温かい音色と叙情性、卓越した音楽性が高く評価され、人気、実力ともに日本を代表するピアニストとして活躍している。これまでに国内外のオーケストラと共演を重ねている他、2016年秋からはデビュー30周年を記念した公演が、全国各地で予定されている。音楽の無限の可能性を信じ、子どものためのプロジェクト、ワークショップ、演劇とのコラボレーションなど多彩な活動も実施。魅力的な内容とともに豊かな人間性が多くのファンを魅了している。CDはソニー・ミュージックと専属契約を結び多数リリース。新著の『ピアニストはおもしろい』(春秋社)も版を重ねている。メディアへの出演も多く、音楽の素晴らしさを広く深く伝える姿勢は多くの共感を集めている。
仲道郁代オフィシャル・ホームページ
http://www.ikuyo-nakamichi.com

ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団 Hungarian National Philharmonic Orchestra 管弦楽

1923年に創立。創立以来、ハンガリーの首都ブダペストに本拠を置き、ハンガリー音楽界の中心的な役割を担ってきた。これまでにフリッチャイ、クレンペラー、ドラティ、フェレンチク、アンセルメ、メータ、マゼール、バルビローリ、ストコフスキー、アバドなどの指揮者と共演。1987年から10年間、小林研一郎が音楽監督を務め。1997年秋には、ゾルタン・コチシュが音楽総監督に就任、世界各地からの招聘を受け40カ国で100回以上の演奏会を行う。

曲目・解説

熱く、激しく。妖艶に、幻想的に。
そのスケールは目と耳を圧倒する。

“コバケン”の愛称で親しまれる指揮者・小林研一郎の指揮は、身振りの激しさに留まらず、時に大きなうなり声をあげる。“炎のマエストロ”と呼ばれる由縁は、まさにそこにある。そして、絶大な人気を誇り、今年デビュー30周年を迎えるピアニスト・仲道郁代。この夢の競演が、今秋、富山で実現します。

曲目

『ブラームス:ハンガリー舞曲 第1番/第6番/第5番』

『グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調 Op.16』

数あるピアノ協奏曲の中でも、非常に人気の高い曲です。
ノルウェーの作曲家グリーグの代表的な曲であり、壮大なドラマをイメージさせる音楽としてCMやドラマでもよく使用されています。

『ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14』

演奏される機会が少ない、大曲。ベルリオーズ自身の恋愛物語をベースに描かれた曲で、“炎のマエストロ”コバケンが得意としています。幻想的、かつ時にグロテスクでもあり、背景を知れば知るほど興味が増します。

解説

『グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調 Op.16』

意外にもグリーグ唯一のピアノ協奏曲。
北欧ノルウェーの作曲家グリーグは、優れたメロディーメーカーでもあり、北欧独特の音階とそれに付随する卓越した和声で、魅力に満ちた音楽をたくさん書き残し、今日でも我々を魅了している大切な作曲家。
そういう印象でこのコンチェルトを聴くと、少しその北欧色というのが薄い感じがしないでもないけれど、それもそのはずでこの作品はグリーグの20代半ばの作品!!20代半ばにしてこの完成度か!と驚くけれど、彼はドイツで修行し、まだ音楽後進国であったノルウェーに帰還してから、ノルウェーの音楽とドイツ由来のいわば伝統的クラシックを融合し、ノルウェー発の優れた音楽として、ヨーロッパの保守的音楽層を逆に認めさせてしまうという功績を残した人でもあります。そうした兆しは、例えば第1楽章の主題(民謡的な音の運び)にも見られるし、3楽章にも強く感じられます(民族舞曲的)。こうしたグリーグのルーツを見つめる聴き方も興味深いですし、ピアノコンチェルトとして、ピアニストの技巧術を楽しむのも面白いでしょう。グリーグは優れたピアニストでもあったので、こうした充実したピアノパートを書くことができた訳です。諸事情で彼自身の演奏による初演はなされなかったのですが、リストも絶賛したというこの協奏曲のピアノパートはパフォーマンス的にも魅了する要素が充実しています。
仲道さんの演奏は、柔らかであり甘美な音楽から、劇場的なものまで多彩なパレットをお持ちです。きっとグリーグも唸らせるような、彼の期待に応える魅力的な演奏がなされるはず。
聴いてみたい!!

『ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14』

自身の失恋事件が発端で書かれた渾身の交響曲。
ベルリオーズは、オーケストラの各楽器の使い方にも精通し、管弦楽法といういわばオーケストラを書くための教科書まで制作。種々の楽器の特質を知り尽くした彼は、特殊奏法までも駆使し、独自の音響を創りだしました。もちろん幻想交響曲にもその手腕を遺憾なく発揮!
例えば…
第1楽章。楽章の終わりは和音の連続のみによる音響的空間世界が出現。(和音の組み方に人工音響的な工夫をオケに施しているところも)
第2楽章。ハープが2台も使われている。(ハープそれ自体がオケの中で使われることは特殊だったにも関わらず2台も!)
第3楽章。オーケストラの花形打楽器であるティンパニーをなんと4人(当時は2人でも異常な程)の奏者で演奏(遠くの雷鳴を描写)。
第4楽章。ギロチンが落ちる音を、不意打ち的なオーケストラの全奏が表現(いかに鳴らすか!?各楽器の強音が鳴りやすいところを音で指定)
第5楽章。楽章全体を通して、何やら異質な響きを感じられる方もいるかと思いますが、それもそのはずで、この楽章はアヘンによって冒された人が見る、幻惑の世界という設定になっていて、楽器の低音域だったり、鋭く強い響きになってしまう高音域だったり、また弦楽器の弓の反対側(弓を留めている木の柄の部分)使ってカタカタ、カサカサした音を出すという通常とは異なる奏法(=特殊奏法)を楽器に与えることで、その現実離れした世界を表現しているのです。これも管弦楽法の匠だから成せる技。
そして奇をてらったようなこうした特殊な仕掛けが実は音楽に見事にフィットしている為に、何度聴いても面白いし、またそんな独特な世界の広がっている幻想交響曲の世界に、再び浸りたくなってしまうのです。
浸りたい!!
【曲目解説:加藤 昌則】

【必聴!加藤昌則氏による音楽入門講座!!】

劇場での鑑賞が何倍も楽しくなること間違いなし!
特に今回の「小林研一郎指揮 ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団」公演を聴くなら、是非、第2回「オーケストラ」講座へのご参加をオススメします!

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公演概要

小林 研一郎 指揮
ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ 仲道郁代

開催日時 2016年10月29日(土)
15:00開演(14:30開場)
会場 オーバード・ホール
入場料 S席10,000円、A席8,000円、B席6,000円、学生券2,000円(大学生以下)[全席指定・税込]
※未就学児童のご入場はお断りします。
※学生券をお持ちの方は、公演当日、空席からお席をご用意します。
※やむを得ない事情により、出演者、曲目が変更となる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
チケット
発売日
アスネット会員先行発売日:2016年6月18日(土)のみ
一般発売日:2016年6月25日(土)から
プレイガイド アスネットカウンター☎076-445-5511
チケットぴあ(☎0570-02-9999 /Pコード:296-680)
ローソンチケット(☎0570-084-005/Lコード:53325)
アーツナビ(富山県民会館、教育文化会館、高岡文化ホール、新川文化ホール)、
富山大和、高岡大和、開進堂楽器(楽器センター富山・高岡・金沢)、
(株)リペアワークス(本店・富山店セクションルーム)、(有)ウィンズラボ、石川県立音楽堂
主催 (公財)富山市民文化事業団、富山市
共催 北日本新聞社、チューリップテレビ、FMとやま
お問い合わせ (公財)富山市民文化事業団 総務企画課
☎076-445-5610(平日8:30~17:15)

デビュー30周年記念 仲道郁代インタビュー

楽壇のスターとして注目を集め続けるピアニストの仲道郁代さんは、この9月でデビュー30周年を迎えた。
その記念イヤーの10月29日に、富山オーバード・ホールにも登場する。
演奏会を前に共演者の小林研一郎さんやハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団、そして楽曲についてお話をうかがった。

このたびはデビュー30周年、おめでとうございます。

ありがとうございます。一つ一つの場面を思い出すと30年はずいぶん長い時間ですが、振り返るとあっという間だったような気もしますね。よい経験とチャレンジをたくさんさせてもらって充実した30年だったことを感謝しています。ここから10年、20年と新たに積み重ねていけたらと思っています。

小林研一郎さんとは何度もご一緒されていると思いますが、
マエストロはどんな方ですか?

そうですね、日本の指揮者の方では小林研一郎先生との共演がいちばん多いと思います。

小林先生はソリストに対して細かい注文はおつけにならない、ソリストを自由にさせてくださるマエストロですが、気がつくとマエストロの大きな手のひらに包まれて演奏しているというか、できあがったものは小林研一郎の音楽になっているように感じます。同じ曲でも「はっ、この弦楽器のフレーズはこんな美しい響きだったのか!」などと共演のたびに新たな発見をさせてくださるので、そのたびに新鮮な気持ちで演奏できます。

マエストロがリハーサルの時に発せられる言葉の数々はとても“哲学的”です。たとえば「この休符は“休み”ではない」とか。これは、音は出していないけれど、そこに続いている音楽を感じなさいという意味なのですね。また、「ベートーヴェンの魂を受け入れるには姿勢が大事」とおっしゃって、オーケストラに背筋をのばすよう指示なさるなど。。。それで本当に出てくる音が全然違ってくるのが不思議です。

リハーサルでは、そのように言葉を大事になさっていますが、本番では御存知のとおりあの情熱ほとばしる、ホール全体を熱狂の渦に巻き込むような指揮をなさいますよね。一緒に演奏していて、マエストロの指先の動きひとつで、舞台から発せられた音がひゅーっと弧を描いて客席に舞い降りるのが見えるような瞬間があります。すごいカリスマだと思います。

ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団とも
何度かご共演なさっていますが、どんなオーケストラですか?

いかにもハンガリー的なハーモニーやリズム感をもっていて、スラブの郷愁を誘うような音楽性が印象的なオケですね。最後に共演してから10年ほど経っているので響きも少し変わっているかもしれません。どのように熟成されているか楽しみです。

グリーグのピアノ協奏曲は人気の高い名曲ですが、
演奏家にとってどんな曲なのでしょうか。

とても大切なレパートリーです。よくシューマンのピアノ協奏曲と似ていると言われますが、実際に演奏しても似ていると思います。グリーグはライプツィヒに留学中の1858年に、クララ・シューマンが演奏するシューマンのコンチェルトを実際に聴いていますので、はっきりと影響を受けているのでしょう。

また、これは私個人の意見なので学術的に正しいかどうか分かりませんが、グリーグはこの曲を書くにあたってベートーヴェンのピアノ協奏曲5番『皇帝』をかなり研究したのではないかと思います。モチーフの使い方や構成が『皇帝』ととても似ているように思うのです。

でも曲調はいかにもグリーグらしく、北欧の澄んだ空気、清らかな水といった美しい自然や、人々の温かさを感じさせる曲ですね。

そういえば富山も空気と水が清らかで自然が美しいところですね。グリーグが描き出す風景に通じるところがあります。

ありがとうございます。富山とのご縁についてもお聞かせください。

若い頃は毎夏、「立山高原音楽祭」に参加していました。高い標高の場所で演奏するのは気持ち良いですし、自然が豊かで食べ物もおいしいので、いつも楽しみでした。

昨年もヴァイオリニストの川久保賜紀さんとのデュオ・コンサートを魚津で行ったのですが、富山のお客さまは音楽の「こころ」の部分をちゃんと聴きとろうという姿勢があることが舞台からも感じ取れて、富山の文化度は高いなぁと思います。そのような聴衆の前で演奏するのは演奏家としてなによりの悦びです。

仲道郁代デビュー30周年記念ページ

19世紀のピアノで聴くショパン

仲道郁代さんのデビュー30年記念にリリースされたアルバム『永遠のショパン』は、ショパンと同時代の1842年製プレイエル社のピアノを使用したショパン名曲集。

「この楽器は現代のピアノとは構造が違い、金属フレームを使っていません。ですから弦の張力が弱く、響きもタッチもぜんぜん違いますが、たまたま機会があって弾いた時に、“この楽器ならきっとショパンのことがもっと分かる、新たな発見がある” と感じたのです」と仲道さん。「それで、プレイエルをずっと探していたのですが、フランスの貴族が旧蔵していたという状態の良い楽器がみつかったので買い求めました」

仲道さんは楽器を自宅に置きタッチや響きに慣れて「楽器が伝えてくれるものをきちんと感じ取れるようになったと感じた」ので、このアルバムを制作することに。「現代のピアノとは違う繊細な響きをもった楽器です。平均律ではなく和音が濁りにくい古典調律で、Aも427Hzとかなり低く調律されています。今までとは違うまったく新しいショパンを聴いていただけると思います。」

仲道郁代 デビュー30年アニヴァーサリー・リリース第1弾
「永遠のショパン」

取材・文=稲本義彦

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