ジャズの過去・現在・未来がここにある。
第二次世界大戦前夜、ナチス統治下のドイツからアメリカに移住した二人の青年、アルフレッド・ライオンとフランシス・ウルフ。大のジャズ・ファンであった彼らは、1939年にニューヨークで小さなレコード会社「ブルーノート・レコード」を立ち上げた。
レコーディングにあたって、アーティストに完全な自由を渡し、かつ新曲を書くよう励ます-。理想を求め、妥協することのないライオンとウルフの信念は、ジャズのみならず、アート全般やヒップホップ等の音楽に消えることのない足跡を残してきた。
映画はスタジオの風景から始まる。
ロバート・グラスパーを中心に若手アーティスト達で結成されたスーパー・グループ、ブルーノート・オールスターズ。現在のブルーノートを代表する彼らのレコーディング・セッションに、2人のレジェンド、ハービー・ハンコックとウェイン・ショーターが現れる。
のちに監督自身が「魔法のような時間だった」と振り返るスペシャル・セッションの映像やレアなアーカイヴ映像、そして歴代のブルーノートのアーティストたちや、レーベルと密接に関わった人々との対話を通じて、80年にわたり世界中の音楽ファンを魅了しつづけるジャズ・レーベルの真実に迫る、傑作ドキュメンタリー。
- 第17回 トライベッカ映画祭 正式出品
- 第25回 シェフィールド国際ドキュメンタリー映画祭 正式出品
- 第24回 パームスプリング国際映画祭 正式出品
- 第26回 ハンブルグ・フィルムフェスト 国際映画祭 正式出品
- 第21回 上海国際映画祭 正式出品
- 第63回 コーク映画祭(アイルランド) 正式出品
- 第59回 フィレンツェ映画祭 正式出品
- 第36回 バンクーバー国際映画祭 正式出品 etc.
出演 |
ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ルー・ドナルドソン、ノラ・ジョーンズ、
ロバート・グラスパー、アンブローズ・アキンムシーレ、ケンドリック・スコット、ドン・ウォズ、アリ・シャヒード・ムハマド(ア・トライブ・コールド・クエスト)、テラス・マーティン、ケンドリック・ラマー(声の出演)etc. |
監督 |
ソフィー・フーバー |
字幕翻訳 |
行方 均 |
配給 |
EASTWORLD ENTERTAINMENT |
協力 |
スターキャット |
2018年 スイス/米/英合作 85分 |
劇中で流れるブルーノートの名曲
- ウン・ポコ・ロコ (バド・パウエル)
- ブルー・トレイン (ジョン・コルトレーン)
- サムシン・エルス (キャノンボール・アダレイ&マイルス・デイヴィス)
- モーニン、チュニジアの夜 (アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ)
- ザ・サイドワインダー (リー・モーガン)
- ソング・フォー・マイ・ファーザー (ホレス・シルヴァー)
- サコタッシュ、カンタロープ・アイランド (ハービー・ハンコック)
- フィー・フイ・フォ・ファム (ウェイン・ショーター)
- モード・フォー・ジョー (ジョー・ヘンダーソン)
- カンタループ (Us3)
- ドント・ノー・ホワイ (ノラ・ジョーンズ)
- マスカレロ (ブルーノート・オールスターズ) etc.
監督からのメッセージ
とりわけ私の心を動かしたのは、ブルーノート・レコードが創立から一貫して人間性と誠実さを失っていないことでした。
ブルーノートの物語はほぼ80年間におよび、これまでにおよそ1,000枚の作品が発表されてきました。それぞれのレコードの背後にひとりの人間がいて、その時代の表現があります。この映画を通じて、その音楽の――人間の表現の――深さが、そしてその音楽がいかに影響力があり必要なものであったかが、伝わってくれると嬉しいです。
人種差別が危険なほど露骨な時代における、アフリカン・アメリカンのアーティストたちと、彼らを録音したドイツ系ユダヤ移民(アルフレッド・ライオンとフランシス・ウルフ)の必然的な結びつきの物語を描くのはことさら重要でした。彼らが共に築き、残した財産は、世代やジャンルを横断して人々を鼓舞しつづけています。
ブル―ノートのストーリーでとりわけ私の心を動かしたのは、創立から一貫して人間性と誠実さの中核を一度として失っていないことでした。これは、自らの情熱に従い、あらゆる障害を排して、愛する音楽のために永続的な舞台を築いた人々の物語です。その音楽は、ドイツ系ユダヤ人の二人の創立者にとっても、アフリカン・アメリカンのミュージシャンたちにとっても、感情を浄化し自由を象徴するものだったのです。創立者たちのヴィジョンは今日も明白です。ブルーノート社長ドン・ウォズと才能豊かな若い世代のミュージシャンたちが止まることなくその音楽を前に進め、それぞれの足跡を残しています。
ソフィー・フーバー
「ブルーノート・レコード ジャズを超えて」公式サイト