中ホールで「人形浄瑠璃 文楽」を!

公演振り返り

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「人形浄瑠璃 文楽」を初めて鑑賞したのは、私が富山市民文化事業団に勤務したての、まだ20代前半の頃。

感動しました。

その当時、チラシに書かれていたキャッチコピーが“見えぬ涙が心をつたう”。まさにそのとおりだ、と心打たれていました。

情感あふれる舞台、人形の一挙手一同に魅了され、太夫の語りと三味線の音色が身体中を駆けめぐり、人情の機微が切なく胸に迫り、そのすべてが美しい世界でした。

それから時を経て、中ホールができるとわかった時、ぜひ上演できたらと思ったのが「人形浄瑠璃 文楽」。

2023年10月9日(月・祝)、その願いが叶い、「時代物」と「世話物」の2演目で華々しく開館記念を彩っていただくことができました。

太夫、三味線、人形、三業互いの絶妙な掛け合いで息をあわせて創り出される迫力の舞台、描かれるのは運命に翻弄される複雑な人間模様。

文楽協会創立60周年記念となる地方公演でもあり、人間国宝のお二人(鶴澤清治さん、桐竹勘十郎さん)もお迎えし、キャスト・スタッフ総勢66名の大所帯で、熟練の技を披露していただきました。

今回、とても好評だったのが、上演前の「解説(あらすじを中心とした)」でした。

舞台上には「字幕」も設置していましたが、このお芝居前の「解説」が楽しくわかりやすく、舞台をより面白く鑑賞できた!というお声を多数いただきました。

この「解説」の方の後ろの幕、舞台と客席を区切っている幕が〝定式幕(じょうしきまく)″です。

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定式幕は、歌舞伎や文楽で使用される三色の引幕で、客席に足を踏み入れた時、私はこの幕を目にすると気分が高揚し、ワクワクします。

これは、この「文楽」公演のため、通常吊ってある幕からの吊り換え作業で実現したもの。

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なかなかな人力作業で、舞台スタッフに手間をかけることになりましたが、中ホールに生まれた壮観な文楽空間の雰囲気を、皆さま楽しんでいただけたのではと思っています。

今回、定式幕に注目していたから気づいたことがありました。

お芝居が始まる時、あの大きな幕が、なんと滑らかに楚々楚々と上手から下手に開けられることか!こんなところにも文楽座の方の鍛錬の成せる技があるのか!と。感嘆しました。

そして、「解説」よりさらにお客様に好評だったのは、開演前にホワエイで行った「文楽人形のお出迎え」だったかもしれません。

人形遣いの方が人形を少し動かしてくださり、心憎い仕草で、お客様と一緒にパチリ。

写真待ちの列にはなってしまいましたが、記念になったと皆さまの笑顔がいっぱいでした。

文楽人形に心躍るお気持ち、よくわかります。私も大好きです。心奪われますよね。

人形の顔、着物、そのたたずまい。人形だからこそなのか、魅力的で、妖艶で、儚げで、凛々しくて、神々しくすら感じられます。

少しだけ、皆さまに、楽屋に広がる文楽の世界を。

そこには、命を吹き込まれる前の人形たちがずらりと。廊下には所狭しと小道具たちが。

私の役得だなぁと思いながら、楽屋を歩いておりました。

終演後アンケートのお声も少しだけご紹介を。

今回、私が一番嬉しかったのは、初めて「人形浄瑠璃 文楽」を生で鑑賞したという方がたくさんいらっしゃったことでした。

 

<アンケートより>

◆三年ほど前からDVDで文楽鑑賞をするようになり、この度初めて生公演を観させていただきました。お人形の生々しい動きもさることながら、全身全霊を込めた義太夫節が私の身体に沁み込んで行くようで、感動で心が震えました。(60代女性)

◆TVで見たことはあるのですが、生で見て、こんなに美しく迫力のあるものだとは!(50代女性)

◆文楽初体験。素晴らしさに驚きと感動。(60代男性)

◆初めての文楽でしたが、とても面白かったです。人形のお出迎え、口上での解説。始まる前からワクワクして舞台を楽しむ事ができました。(50代女性)

 

お客様に劇場に足を運んでいただき、生の舞台に触れ、体感し、堪能いただくことが、私たちの何よりの喜びです。

つくづく思います、日本の伝統芸能、古典芸能は、日本特有の世界に誇る美意識の極みだと。

「人形浄瑠璃 文楽」、またいつか、中ホールで上演できればと思っております。

ご紹介できなかったのですが、他にも充実の〝公演プログラム″、〝文楽せんべい″に〝文楽グッズ″と心躍るものがいっぱいです。

その際は、ぜひ、また一緒に「人形浄瑠璃 文楽」の世界に浸りましょう。

皆さまのご来場をお待ちしております。

 

~最後に、心よりの感謝を~

私どもの情報誌「mite mite」にも素敵なイラストを描いてくださった、桐竹勘十郎さんが、サイン色紙にも愛らしいイラストを!!

ありがとうございます!大切にします!

 

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