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記者会見1

写真左から 奈木 隆(富山市民文化事業団 芸術監督)、野田 久美子(ミニー役)、本間 憲一(コーネリアス役) 
          剣 幸(ドーリー役)、モト冬樹(ホレス役)、井料 瑠美(アイリーン役)、高萩 宏(東京芸術劇場 副館長)
2013年5月17日(金)、東京芸術劇場プレイハウスのロビーにて行われたミュージカル「ハロー・ドーリー!」の記者会見。剣 幸、モト冬樹らキャスト、制作スタッフらが再演に向けての意気込みを語りました。
出席者
コメント
質疑応答


出席者

コメント

奈木 隆 (富山市民文化事業団 芸術監督)
<名作ミュージカル上演シリーズの
企画趣旨について>
自分がオーバード・ホールの企画をする立場になった時、米国のリージョナルシアターの様なミュージカル制作をするべきと考えました。判断要素は次のとおりです。




1.オーバード・ホールは、日本でも有数の可動式床機構を持つ3面半舞台のオペラ劇場である。
2.富山市には48練習室を持つ「富山市民芸術創造センター」という世界でも珍しい充実した稽古場施設を持っている。
3.富山市は、桐朋学園大学院大学と桐朋オーケストラ・アカデミーを誘致している。
4.富山は、バレエや吹奏楽が盛んで、実演人口が多い。これは、富山市民芸術創造センターの存在も大きな理由。

これらの要素を最大限に活用し、歌・踊り・芝居・音楽が内包された総合芸術として、大規模なミュージカル制作が相応しいと考えました。環境が十分整っているので、全国公募でプロ・アマ問わず才能のある出演者を集め、アメリカ・日本の一流のクリエイティブ・スタッフと共に富山で制作し、新しい市民参加スタイルを提示しながら製作しようと考えました。
文化庁が2010年度から「優れた劇場・音楽堂からの創造発信事業」という新しい助成金制度を設定しており(※現名称「劇場・音楽堂等活性化事業」)、申請したところ採用されました。この助成は5カ年計画であったため、毎年、新たな挑戦が出来る演目を選び、且つブロードウェイの王道ミュージカルの歴史も理解できるようにした、名作ミュージカル上演シリーズを計画しました。

第1弾 「回転木馬」(2011年3月)
第2弾 「ハロー・ドーリー!」(2012年2月)
第3弾 「ミー&マイガール」(2013年2月)
第4弾 「42nd ストリート」を変更し、「ハロー・ドーリー!」(2013年8月 富山再演・東京初演)
第5弾 「ショーボート」(2015年3月上演予定)

回を重ねるごとに観客数も増え、評論家やミュージカル関係者にも足を運んで頂けるようになりました。そうしたところ、第2弾の「ハロー・ドーリー!」を東京で上演して欲しいとの要望が、評論家や記者の方達、観客から多数寄せられ、また東京芸術劇場さんからの要請もあり、本来第4弾では「42ndストリート」を上演予定としていたのですが、変更して「ハロー・ドーリー!」富山再演、東京初演が実現しました。
記者からの質疑応答を見る
高萩 宏 (東京芸術劇場 副館長)
<東京上演の経緯について>
芸術劇場は1990年に開館し、去年9月にリニューアルオープンしました。
プレイハウスはオーケストラピットを持っており、前館長の小田島雄志さんは、ミュージカル月間をつくり、10年間続けました。現芸術監督が就任前、芸術劇場では自主事業をあまり上演していなかったため、劇場を提供して良い作品を上演してもらうというスタイルで“優れたミュージカルの再演”をしていたのです。
オリジナルミュージカルを制作したかったのですが、実現は難しかったのです。小田島さんが館長をお辞めになる時、10年間ミュージカル上演に貢献してきたのだから、せっかく蒔いた種を絶やさないようにしてほしいという想いがありました。
そして去年の改修工事中、リニューアル後の演目を探していた時、演劇評論家の扇田さんから富山で素晴らしいミュージカルを観てきたと聞きました。ミュージカル、しかも再演で、芸術劇場としては演目的にも適していました。そして文化庁の「劇場・音楽堂等活性化事業」では、各地の中核劇場はネットワークをつくるよう、特に東京の劇場は地方劇場と提携を強めるようにとの趣旨がありました。また、去年できた「劇場法」でも劇場同士の提携を深めるようにと書かれてあります。 芸術劇場は池袋駅前で立地が良く、地方の方にとっても来やすい場所です。
扇田さんに詳細を聞いたところ、「とにかく凄い」ということでした。最初は、地方の市民参加ということである種のイメージがあるので心配しましたが、DVDを拝見したところ、本当に素晴らしく、東京で上演しているミュージカルに匹敵する質の高いものでした。少し心配しているのは劇場の大きさです。富山と東京で演出が異なります。また驚いたことに“銀橋”を設置しての上演ということでしたので、舞台スタッフが確認し、“工夫次第で上演可能”ということになり、芸術劇場での上演を決定しました。
扇田 昭彦 (演劇評論家)
<昨年、「ハロー・ドーリー!」を
観劇した感想>
去年、オーバード・ホールに観に行ってびっくりしました。これほどのミュージカルが地方でつくれるのか、と思いました。地方の公共劇場でミュージカル制作という場合は市民参加型で、しかも地元で財源を確保してというものが多いと思います。ですが、富山はブロードウェイミュージカル、しかも日本でやられていなかった演目を実現するというので企画も凄いと思いました。
そして剣幸さんを始めとするプロの演劇人と市民参加の方々が非常に合致しており、しかも十分に稽古を積んでいるので、歌のレベルもかなり高いんですね。これは富山だけで終わらせるのは勿体ないと思い、雑誌のミュージカルに劇評を書き、高萩さんに「是非、東京で出来ないか」とお話したところ実現しました。このような形がこれからも続いていけば良いと思います。
剣 幸 (ミセス・ドーリー ギャラガー リーヴァイ役)
あり得ないことが起こったと思っています。ずっと念願だったミュージカル「ハロー・ドーリー!」ができたということ、そしてそれが富山で上演できたこと自体が奇跡でした。それがプロの方々がやっている東京で上演できるというのはあり得ないと思っています。市民参加型で、どこか家族的な雰囲気の中でやってきたような感覚があります。東京のお芝居と肩を並べて出来ることは半分不安で半分喜びがあります。ですが今日、仲間と再会した時、いろんなことが蘇ってきて、またハッピーなミュージカルをお届けできることを確信しました。
是非、お越しください。
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モト冬樹 (ホレス・ヴァンダゲルダー役)
この時代のミュージカルが大好きなんです。しかも「ハロー・ドーリー!」は日本語上演が初めてです。いろんなお芝居をしましたが、こんなに長い間、稽古をしたのは初めてでした。みんなが一丸となって稽古しました。実際、素晴らしいオーバード・ホールでこの優れた作品に参加して本当に良かったと思いました。東京再演は、基準が高くなったと思います。これは大変だな、と思っています。東京で上演できるワクワク感もあります。だけど長い間稽古しただけあって家族のような雰囲気なので、きっと初演時よりも良い「ハロー・ドーリー!」が出来るんじゃないかと思います。ご期待ください。
本間 憲一 (コーネリアス・ハックル役)
再演があったらいいな、と思っていたので実現して嬉しいのですが、逆にハードルが上がったと思っています。期待にこたえなければならないと思います。東京では日本語初演ですし、音楽もいいし、ハッピーになれる舞台です。とてもワクワクしています。
井料 瑠美 (アイリーン・モロイ役)
歌があって踊りがあって、お芝居があって、メッセージ性もあって、「ハロー・ドーリー!」の魅力は尽きません。そして、このカンパニーはミラクルカンパニーです。ミュージカルを愛しているスタッフばかりです。剣さんはじめ、夢のようなキャストが丁寧な稽古を東京から積み上げ、冬の富山に3週間、山ごもりのように稽古しました。豊かな環境で丁寧につくることができて幸せな日々でした。その夢がまた叶うということで、さらにパワーアップした良いものをお届けしたいと思います。
野田 久美子 (ミニー・フェイ役)
私は徳島県出身ですが、地方で初演したミュージカルが、こうして東京でできるなんて夢のようです。なので、いつか徳島で創った作品も東京で出来たらいいなと思います。キャスト・スタッフの方達に支えられて舞台に立てました。私自身、楽しみです。