グランド・ミュージカル『回転木馬』制作発表 2010年10月12日(火)、富山市民芸術創造センターにて、グランド・ミュージカル『回転木馬』の制作発表が行われました。たくさんの報道陣が集まる中、顔をそろえたメインキャスト、クリエイティブスタッフが熱い思いを語りました。会場の熱気をお届けします。

写真左から【前列】森隆俊(バスコム氏役)、岩田守弘(不良グループ・ボス役/バレエシーン振付)、上野聖太(ビリー・ビグロー役)、中村桃花(ジュリー・ジョーダン役)、剣幸(ネティ・ファウラー役)、石田太郎(天上の裁判官役)
【後列】中島亮(ジガー・クレイギン役)、柳川玄奈(ミス・マリン役)、藤田光之(イノック・スノウ役)、丸尾有香(キャリー・ピパリッジ役)、後藤いずみ・石井千智(ルイーズ・ビグロー役(Wキャスト))

キャスト

上野聖太(ビリー・ビグロー役) 上野聖太(ビリー・ビグロー役):
オーディションを受けて参加させていただくことになったのですが、この場にいられるのも選んでいただいたスタッフの方々のおかげ。まず感謝をしたいのと、「俺、がんばったな」と(笑)。富山発のこのミュージカルをいろんな方に観ていただきたい。全国から観にきて欲しいし、富山に観に来てよかったな、と思えるような舞台を創りたい。オーバード・ホールを見て、いろんな機構があるんだよ、というのを聞いて、誇らしさと緊張がどんどん増したけど、それに負けないようにいい舞台を創りたいと思っています。

中村桃花(ジュリー・ジョーダン役)中村桃花(ジュリー・ジョーダン役):
私も今回オーディションを経てこのカンパニーに参加させていただくことになりました。感謝の気持ちでいっぱいです。この作品にとても携わりたいと思ったのは、ものすごく情熱と誇りをもって、そして愛をこめてこの作品を企画されているから。本当に素敵だな、と。ひとつの作品のために、全身全霊を注いで熱いミュージカルを創るということは、今とても大切なんじゃないかなって思っていた矢先にこういうカンパニーに参加させていただいて、本当に嬉しく思っています。私も「よくやった」と思っておりますが(笑)、その「よくやった」を自分で、この公演が終わった時にもう一度思えるように、全力で全身全霊を込めて、カンパニーのみんな、富山の市民の方たちと一緒に、情熱的な熱い『回転木馬』、私たちにしかできない『回転木馬』を創っていこうという気持ちでいっぱいです。頑張りますので、一人でも多くの皆さまに観ていただけるといいなと思っています。

藤田光之(イノック・スノウ役) 藤田光之(イノック・スノウ役):
僕は去年の初夏に一度、オーバード・ホールでの『ラ・マンチャの男』という作品に出させていただいて、とってもいい劇場でいい思い出しか残らなかった3日間だったんです。それでまた行きたいなと思っていたら、熱意をもっていたからかどうかわからないですけれども、俺頑張ったからかな(笑)、こういう機会を与えていただいて本当に感謝しています。配役を聞いたときは運命を感じて「やった」って叫んじゃったくらい本番が待ち遠しいです。僕も全身全霊をかけて自分の役にしていきながらも、全員で楽しみながら『回転木馬』を創っていけたらなと思っています。

丸尾有香(キャリー・ピパリッジ役) 丸尾有香(キャリー・ピパリッジ役):
私は普段はオペラを歌っているのですが、結構暗い地味な役が多いんですね。今回はキャリーということで、すごくハツラツとした自分にとってやりたい役で、決まった瞬間、電話の先で、すごく嬉しくて、叫んじゃいました。全身全霊かたむけて、明るくてはつらつとした、そしてユーモアあふれるキャリーを演じられたらいいなって思います。

後藤いずみ(ルイーズ・ビグロー役 Wキャスト) 後藤いずみ(ルイーズ・ビグロー役 Wキャスト):
先ほどオーバード・ホールを見させていただいたんですが、本当にすばらしくて、このような素敵な場所でミュージカル『回転木馬』に出演できることを心からうれしく思っております。本当に尊敬している岩田守弘さんと一緒に踊れることがもう夢のようで、すごく緊張しています。ちゃんと自分なりのルイーズが出来上がって、岩田さんとの合わせがうまくいけばいいなと思っています。このような大役をいただけてとてもうれしく思っております。選んでいただいた皆様にこたえられるよう、精いっぱい頑張ります。

石井千智(ルイーズ・ビグロー役 Wキャスト) 石井千智(ルイーズ・ビグロー役 Wキャスト):
最初、プロデューサーの奈木さんから「ルイーズ役でよろしくお願いします」という電話がかかってきたときは、本当に信じられなくて、何回も本当に私でいいのか確認しました。本当にうれしかったです。素晴らしい方たちと、岩田さんと、踊ることができて本当に幸せです。観客を魅了させられるような自分らしいルイーズを演じたいと思います。

柳川玄奈(ミス・マリン役) 柳川玄奈(ミス・マリン役):
地元の富山で、大きなオペラハウス、オーバード・ホールで夢のミュージカルの舞台に立てることを本当に光栄に思っております。脚本を読ませていただきますと、いろんな立場のいろいろな愛の形、愛の表現があふれています。その中でミス・マリンは、ちょっと血の気の多い愛の表現をするのですけれど、かわいい女らしい女じゃないかなと思っております。ぜひ皆さんに応援していただきたいと思っております。

中島亮(ジガー・クレイギン役) 中島 亮(ジガー・クレイギン役):
普段はアマチュア劇団で芝居をしています。こんなすごい企画に参加させていただくことになりまして、本当に光栄に思っております。ですが、今朝、ホールを見て、他の出演者の方たちと初めてお会いして、改めて事の重大さに気づいてしまい、朝からふわふわしております。自分にできることを精いっぱいやっていきたいと思います。

森隆俊(バスコム氏役) 森 隆俊(バスコム氏役):
私もアマチュア劇団で38年くらい活動しています。今回、こういう素晴らしいキャスト・スタッフの中で、お芝居ができる、そこに関われるということで、私の持っているものすべて出し切りたいという思いでいます。

特別出演挨拶

剣幸(ネティ・ファウラー役) 剣 幸(ネティ・ファウラー役):
ジュリーの従姉妹役ですけれど、おばさん役の方が気が楽だなぁ、なんて(笑)。14年前くらいに、ハンガリー、ルーマニアに仕事で行った時に、貧富の差を目の当たりにして、その時に『回転木馬』の原作の『リリオム』のもとになった回転木馬がまだ残っているということで、遊園地まで見に行ってきました。その時から『回転木馬』に携われたら嬉しいなと、思っていました。その後、オーバード・ホールができて「ここで、富山の皆さんと何か一緒にできたら嬉しいな」と、思っていたのが今回実現します。今から来年の3月がとっても楽しみです。富山から発信していくということもすごく大事だし、芸能人不毛の地といわれた富山で、次につながっていくものに携わって、皆さんがこの世界にどんどん飛び込んできてくれたらうれしいなと期待も込めて、本当に楽しみにしています。素晴らしいものができると思いますので、観る方にも楽しみにしていただきたいと思っております。

石田太郎(天上の裁判官役) 石田太郎(天上の裁判官役):
この6年くらい、金沢で浄土真宗の寺の住職を兼ねております。このミュージカルのメッセージが「人はひとりでは生きていけない」。わたくしの日頃のお説教も「人はひとりで生きているんじゃないよ、みんなの支えで生きているんですよ」。ですから、非常にうまくコミットしているなと。「天上の裁判官の役ってなんじゃらほい、これは。なんだ、仏教だと閻魔大王だ。」ということなんですよね。僧侶とこのミュージカルとは、非常にフィットしていて、楽しそうだなと思っていました。それと、足掛け4年、富山県の高校生のための演劇ワークショップというのをやっていたんです。その時の生徒さんが今回二人ほど参加していると聞きました。「なんだ、あの先生言っていることとやっていることが違うじゃないか」といわれないように、頑張りたいと思っております。

クリエイティブスタッフ挨拶

宮島春彦(演出) 宮島春彦(演出):
この2人(ロジャーズとハマースタイン二世)の作った『サウンド・オブ・ミュージック』よりも、この作品はずっと面白いと思っています。だから舞台も、比べものにならないくらい面白いものにしたいと思っています。この作品には様々な現代的テーマが入っています。例えば貧富の差、それによる差別、男女の愛をめぐる考え方の違い……。1945年に書かれたとは思えないくらい今に通じるテーマがぎっしり詰まっています。それを、非常に実力派ぞろいのキャストと、富山でこれまで長い間訓練してきたダンスであるとか、バレエであるとか、もちろん歌をやっている人もいるわけですが、これらの方の力を合わせて、これまでにない、刺激的なミュージカルを創りたいと思っています。

岩田守弘(バレエシーン振付・特別出演) 岩田守弘(バレエシーン振付・特別出演):
僕は、モスクワでバレエを踊っているのですが、富山でみなさんといっしょに仕事をできることをとても幸せに思っています。今回3日間で振付が終わってしまいました。13分くらいのあまり長くない作品ですけれど、3日間で仕上げるということは振付の面から考えると特別のことで、異常なほど早い。これができたのは、今回、集まってくれたダンサーの人たちが、もちろんプロフェッショナルとしてのレベルがすごく高いのですが、それ以上にすごく情熱をもってこの作品に取り組んでくれたおかげで、僕がモスクワで考えていた以上にすばらしい踊りができました。これから3月に向けてどんどん自分なりに消化していってもらいたいと思います。

クリス・チャベス(ミュージカルシーン振付) クリス・チャベス(ミュージカルシーン振付):
けっこうプレッシャーがいっぱいあります。岩田さんの振付は全部終わりましたね、3日間で。私はこれからね。だから、一生懸命頑張ります。私のやりたいことは、アメリカのブロードウェイのミュージカルにずっと関わってきたので、本当のブロードウェイステップと気持ちと、その表現を、日本人に伝わるように頑張りたいということ。なかなか日本人には難しいけれど、アメリカ人の気持ちをうつしたい、みんなに。そして全部ファミリーみたいになって、本当のアメリカのミュージカルの気持ちをいっぱいにして頑張ります。よろしくお願いします。

梶 俊男(音楽監督・指揮):
今回は宮島先生の描き下ろしの台本なので、音楽的には歌詞を明瞭によく伝えられるようにしていきたいというのと、もう一つは、生の弦楽器を使ってやろうということで、全部生楽器で演奏することが特徴です。

清河北斗(舞台美術):
僕は黒部市で作家活動をさせていただいています。今回このような素晴らしいチャンスを与えてくださいまして、本当にありがとうございます。もっている力、感覚を全部つぎこんでいいものをつくりたいと思います。

上田彩絢(舞台美術):
演出の宮島先生から、力強いステージをつくりたいというプランをいただいておりますので、キャストのみなさんが創る力強いステージを、舞台美術がちゃんと支えていけるような、いいステージづくりを目指していきたいと思っています。

井上サチ子(衣裳):
ミュージカル、舞台としての衣裳の華やかさは生かしつつも、ひとりひとりの登場人物の生活感といいますか、“懸命に生きていく”そういうリアリティが出せたらと思っております。

奈木 隆(富山市民文化事業団プロデューサー):
このミュージカルは、オーディションを今年の6月と7月に富山と東京で行い、約400人近い応募の中から80名ほど合格されました。もうすでに稽古は始まっています。ここ3日間(10月9,10,11日)では岩田守弘さん指導のもと約13分のバレエシーンの振付が完了しました。これから宮島さんはじめクリエイティブスタッフの力を借りて、いきいきとした瑞々しいミュージカルシーン、バレエシーンにしたいと考えています。このようにプロダクションは着々と進んでいます。このまま3月の本番に向けて一気に加速していきたいと思っています。
この『回転木馬』は、平成22年度地域創造の助成と、文化庁の新たな助成であります「優れた劇場、音楽堂からの創造発信事業」に採択されました。それを受けて入場料金を思い切って安く設定することが実現しました。本格的なブロードウェイ・ミュージカルを富山で制作して、本物の舞台を多くの方々に観ていただきたいと思っています。出演者は、役者80名、来年の1月ごろに150名を募集する予定のコーラス、そして桐朋オーケストラ・アカデミーの協力のもと結成する『回転木馬』特別編成オーケストラ。総出演者約250名でお贈りしたいと思っています。富山市が全国に向けて芸術文化を発信するこのプロダクションを、皆さんのご協力をいただきながら素晴らしいものにしていきたいと思っています。

質疑応答

Q.(剣に)地元富山で役を演じるということについて、どんな思いで臨みたいか?

剣幸:今回の公演では、プロの方もいらっしゃるし、アマチュアでオーディション受けて頑張っている方もいらっしゃる。アマチュアの方は、私たちのようにずっと舞台に立っている者じゃないパワーとか、お持ちだと思うんです。私もいろいろなものを身につける代わりにどんどん落としていった部分もあるから、そういうものを再発見できると思っていますし、新しいものを何か創っていくというときのエネルギーなども、自分で楽しみながらできたらいいと思っています。それにこんな素晴らしいオーバード・ホールで、世界的に有名なミュージカルをできるのはすごいことだし、この稽古場(富山市民芸術創造センター)もすごいし、何もかも久しぶりに富山に帰ってきてびっくりしているところです。
個人的なことをいわせていただくと、「You will never walk alone(人はひとりでは生きていけない)」というすばらしい歌をうたわせていただけるだけでも、本当に幸せだと思っております。

Q.(石田に)どのように役作りに入っていくか?

石田:中身は同じですから僕はそのままで。舞台の上でいきいきと自然に振る舞えればいいと思っております。そして、僕は今までにミュージカルには3本出させていただきましたけれども、オーケストラボックスから音楽がばぁっとでてきたら、やっぱり心が躍るといいますか、「たまらないな、これは、最高だ!」そういう思いがします。今回も皆さんと一緒に梶さん指揮のオーケストラの前で、胸ときめかして体が若返るのを、今から待ち遠しくて楽しみにしております。

Q.(上野・中村に)それぞれどんなビリー、あるいはジュリーを演じたいと思うか?

上野:話は知っているんですけれども、台本、まだ読んでいない状態です。帝国劇場でやったときの石川禅さん、とか宮川浩さんとか、本当に今ミュージカル界で活躍されている方々がされた役ですけれど、舞台では見たことがなくて。カッコよく言えば、僕なりのビリーをつくれたらなと思っております。

中村:私もミュージカルで『回転木馬』を観たことはないんですけれども、映画では拝見しました。作品に対する先入観を持たないことをいい意味にとって、私にしかできないジュリー、このカンパニーの中で生き生きできるジュリーを、これから台本を読んで、つくっていけたらいいなと思います。

Q.(奈木に)もうすでに稽古が始まっているが、手ごたえは?作品を通して伝えたいことは?

奈木:手ごたえを今、すごく感じています。たとえば、宮島先生は今まで20年以上かけて、お芝居をつくったり、ミュージカルをやったり、いろんな市民の方々と舞台を創ることを経験してきている。そのいい土壌のもとに、他府県からもいろんな才能を集めて、オーバード・ホールの舞台機構をフルに使い、富山から芸術文化を発信していく姿勢に持っていきたい。やっぱり富山では、舞台やお芝居、表現で食べていける状況は少ないと思うんです。でもそこを乗り越える、芸術文化をもっと身近に感じてたくさんの方が劇場に集まるような仕組み、きっかけを作っていきたいと思っています。今、多くの才能の集まる稽古場に、確かにその一歩になっていくという手ごたえを感じています。
『回転木馬』で提起される愛の問題は、ずっと人間が抱えていかなきゃいけない問題だと思うんです。だから、その「愛」を伝えていきたい。「愛」とは何かということを伝えたい、と思っています。

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