ひと夏限りの祝祭バンド (ピッチも、リズムも、グルーヴも…)

企画振り返り

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筆者(私):「そういえば(音程などを合わせる)チューニングって…してないですよね。3月の楽市楽座パレードのときも。今日も。」

YASSYさん:「演奏するうえで楽しさを極めれば、どんなメンバー同士でも合うと信じていて。ピッチも、リズムも、グルーヴも。合わないという事は、当人達が楽しみきっていない証拠。…なのでアマチュアを指導する際にはテクニカル的な事よりも、いかにみんなを楽しませるかを一番に考えていて。これまでやってきた今の僕なりの結論です。」

これは5月某日に富山駅近くの居酒屋カウンターで、日本を代表するニューオリンズスタイルブラスバンド“BLACK BOTTOM BRASS BAND(以下、BBBB)”のリーダー:YASSYさんと初めて食事した際の会話である。

衝撃が走った。

『音が合わない(揃わない)のは練習不足とか技術が無いから…ではなく、楽しんでいないから…!』

なかなかの奥深い内容に、YASSYさんがこの境地に至るまでの経緯に興味が溢れ、“街録ch”さながらの質問攻めによって、その日の居酒屋トークは深夜にまで及んだ。

 

 

今年3月、音楽とアートのお花見会「楽市楽座 其の参」にて、初の試みとして実施した“RAKUICHIパレード音楽隊”。 イベントの終盤、BBBBと小学生~50代の市民演奏家たちが一緒になって、富山駅からオーバード・ホール 大ホールの2階ホワイエまでを「聖者の行進」のパレード演奏でイベントを盛り上げた。

 

そして7月の中ホール開館記念の特別企画「カムカムシアター!」に、BBBBの出演が決定!これだけでもとてもハッピーな話題だが、前途した楽市楽座の流れを汲み、舞踊団だけでなく更に多くの市民と一緒にお祝いできる企画として、YASSYさん音楽監修・指導のもと、市民を対象とした“ひと夏限りの祝祭バンド 開運音楽団”を結成する運びとなったのである。

開催時期の7月中旬は、県内の吹奏楽(いわゆるブラバン)関係者が一年で最も多忙となる時期。参加したくてもできないアマチュア演奏家が一定数いらっしゃったことも事実だが、逆にそれが功を奏したのか、6歳から67歳までの個性あふれる楽器と面々の男女18名が揃った。吹奏楽ではお馴染みの管・打楽器群に加え、ヴァイオリン、アコースティックギター、鍵盤ハーモニカ、バグパイプ。どんな音色になるのか、期待と不安と…もうひとつ不安が入り混じる中、YASSYさんからは、「面白そうなメンバー!!!」と超ポジティブな一言。

 

5月下旬、お世辞にも心地良いとは言えないハーモニーとともに開運音楽団は始動。

滅多にお目にかかることの無いバンド編成の個性豊かなサウンドは、YASSYさんの軽妙な関西弁トーク且つ的確なアドバイスによって、練習回を重ねるごとに纏まっていく。

メンバー18人の表情や姿勢や音が変わっていくその様を見ているのが実に面白い。そしてその変貌ぶりは7月の劇場入りから更に加速した。

間違いなく全員が楽しんでいるのが手に取るようにわかる。

リハーサルを重ねるごとに“BAND”になっていく、このうえない快感。

 

勿論、音楽団だけではない。

「カムカムシアター!」演出・振付家:田畑真希さん率いる開運舞踊団や、富山の役者達によるナビゲーター、そしてパーカッショニスト:ヤマダベンさん率いるミュージシャン陣と、BLACK BOTTOM BRASS BAND。

この総勢70人以上からなるカオス集団は、全5回の中ホールイベントを参加したお客様と共に楽しみ切った。

「楽しさを極めれば、絶対に合う(揃う)。」

一見当たり前のようで、まるで魔法のようにも感じるこの言葉は、きっと今後も頭の片隅に残るフレーズになると確信。

この夏、真っ向から気づかせてくれたYASSYさん、そしてそれを証明・実践してくれたカムカムシアター出演者の皆さんに、心から感謝!

また次回の「楽市楽座」でみんなに会えるといいなぁ。

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