森山開次ってどんな人?
コンテンポラリー・ダンスをはじめ、テレビ・映画、ミュージカルからオペラまで幅広く活躍するダンサー・振付家です。過去の作品に「サーカス」、「NINJYA」など子どもから大人まで、世代を超えて感性を刺激する作品を手掛けています。
美術、衣裳も含めて森山ワールド!
振付、演出だけでなく、美術と衣裳デザインも森山開次が担当。バレエらしいロマン溢れる舞台を子どもたちに届けます。「プリンセス 亀の姫が眠り姫やシンデレラのような、人気キャラクターのひとつになったら嬉しいですね!」(森山開次 談)
森山開次メッセージ
その物語を読んで私が先ず驚いたのは、助けたカメが竜宮城のプリンセスだったこと。そして一番驚いたのは太郎がお翁(じい)さんになったあと、さらに鶴に変身して亀の姫と再会、最後には鶴亀の夫婦明神(めおとみょうじん)となって人々を守っていったという話です。「なんで鶴に変身するの?」って、子どもたちにもびっくりしてもらいたい、そしてバレエらしいロマン溢れる舞台を皆様にお届けしたいと思っています。「御伽草子」の竜宮城は島、陸の上にあるのですが、このバレエでは海の中に設定し、ふぐやタコ、マンボウなど愉快な海の仲間たちが登場して太郎を<おもてなし>します。
今回は、美術・衣裳までトータルで担当させていただくので、身が引き締まる思いです。でも多くのプロフェッショナルなスタッフがサポートしてくれ、私のプラン、世界観を具現化してくれる、その共同作業がとても楽しい。一人では舞台は作れるものではないことを、改めて感じています。
新国立劇場バレエ団とのコラボレーションは、昨年秋のワークショップから始まりました。私の振付はコンテンポラリー・ダンスに分類されますがオリジナルで、バレエもベースに取り込んでいます。今までは、私が先ず踊ってみせることが多かったのですが、イメージを伝えるだけで「バレエだったら、こういう動きがある」とアイデアを出してくれる。クラシック・バレエの伝統を保ちつつ新しい表現へ挑戦しようとする新国立劇場バレエ団のメンバーの<創作に対する意識>は、とても高いと感じています。
この作品にはテーマとして「時」が流れています。竜宮城には、不思議な「季(とき)の庭」があり、一度に春夏秋冬の美しい四季を堪能することができます。太郎が竜宮城にいる間に700年もの年月が経過していました。ふるさとで玉手箱を開けた太郎はお翁(じい)さんになってしまいます。玉手箱には、時が封印されていた、そうこれは「時の物語」なのです。
時とは何か。そして、竜宮城とは何か。なぜ、太郎は故郷に帰ったのか。現代を生きる私たちも「今」という時をどのように生きるべきか、あらためて見つめることができるかもしれません。ダンスや音楽は、時の芸術でもあります。そして舞台は、今を共有できる時の空間。舞台上の一瞬を届けるために、私たちは鍛錬と稽古を繰り返す。
当たり前のようにあった<舞台のありがたさ尊さ>をあらためて感じる今。時の感覚も違って感じられます。新国立劇場バレエ団のみんなと、今また創作ができる喜び。どんな『竜宮』が誕生するか、心から楽しみにしています。
森山開次
プロフィール
演出・振付・美術・衣裳
森山開次
神奈川県出身。2005年『KATANA』でNYタイムズ紙に「驚異のダンサー」と評され、07年ヴェネチアビエンナーレ招聘。12年新国立劇場『曼荼羅の宇宙』にて芸術選奨文部科学大臣新人賞ほかを受賞。13年文化庁文化交流使。18年『不思議の国のアリス』全国17都市ツアー、19年『ドン・ジョヴァンニ』でオペラ初演出。 NHK教育「からだであそぼ」、日本ユニセフ協会「世界手洗いダンス」、小学校教科書「空書き」監修など幅広く活躍。新国立劇場では15年・18年『サーカス』、19年『NINJA』でも演出・振付・アートディレクション・出演。世代を超えて多くの観客を魅了し続けている。